Japanese
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入門講座 リハビリテーション医療のエビデンス—言語聴覚療法・1【新連載】
失語症
Aphasia
藤田 郁代
1
Ikuyo Fujita
1
1国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科言語聴覚分野
1Department of Speech, Language and Hearing Sciences and Disorders, Graduate School of Health and Welfare Sciences, International University of Health and Welfare
キーワード:
失語症
,
言語聴覚療法
,
エビデンス
,
アウトカム
,
言語治療効果
Keyword:
失語症
,
言語聴覚療法
,
エビデンス
,
アウトカム
,
言語治療効果
pp.49-56
発行日 2020年1月10日
Published Date 2020/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201851
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失語症の言語治療とエビデンスに基づく臨床
失語症は脳卒中患者の21〜38%1)に生じ,言語によるコミュニケーションを基盤とする日常・社会生活に大きな困難をもたらす.言語聴覚療法はこのような障害に対し機能,活動,参加,背景要因のすべての側面から包括的にアプローチし,言語・コミュニケーションの回復および活動・参加の向上を目指すことになる.近年,エビデンスに基づく臨床(evidence-based practice;EBP)は言語聴覚療法の理念の一つとなっている.
EBPが言語聴覚療法の行動指針として広く共有されるようになったのは2000年以降である.米国言語聴覚協会(American Speech-Language-Hearing Association;ASHA)は2005年にEBPを「入手可能な最良の科学的根拠(エビデンス)を把握し,患者・家族の意向,病態,専門職としての経験や臨床環境と統合して現時点で最善の言語聴覚療法を提供すること」と表現している2).わが国では失語症の言語治療効果に関するエビデンス・レベルの高い研究はまだ少ないが,世界的にみるとランダム化比較試験(randomized controlled trial;RCT)やシステマティックレビュー・メタアナリシスによるエビデンスの集積が進んでいる.
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