Japanese
English
実践講座 経頭蓋直流電気刺激の臨床・4
失語症
Aphasia
吉田 数典
1
,
白山 義洋
1
,
白石 純一郎
1
,
佐伯 覚
2
Kazunori Yoshida
1
,
Yoshihiro Shirayama
1
,
Junichiro Shiraishi
1
,
Satoru Saeki
2
1産業医科大学若松病院リハビリテーション部
2産業医科大学リハビリテーション医学講座
1Department of Rehabilitation, Wakamatsu Hospital of the University of Occupational and Environmental Health, Japan
キーワード:
経頭蓋直流電気刺激
,
脳卒中
,
失語症
Keyword:
経頭蓋直流電気刺激
,
脳卒中
,
失語症
pp.333-339
発行日 2015年4月10日
Published Date 2015/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200199
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
わが国において,脳卒中は年間死亡者総数約12.1万人で死亡の第4位を占める(厚生労働省人口動態統計2012年度調査).日本高次脳機能障害学会の全国実態調査では,脳血管障害急性期の38.9%に失語症が出現するとの報告がある.また,脳卒中患者の入院時に21〜38%が失語症を患っていたとした報告1,2)や,脳卒中患者の退院時に35%は失語症を患うとの報告もある3).
失語症のリハビリテーションの目的は,患者の言語を含めたコミュニケーション能力の可能な限りの回復を図り,生活の質(quality of life;QOL)の向上を目指すことである.その手段として言語聴覚療法(speech language hearing therapy;ST)による失語症状に対する言語治療と,社会復帰を容易にするための環境整備などの調整が必要となる4).失語症患者は非失語症患者よりも長期間の入院や,より多くリハビリテーションを必要とする傾向にあり,脳卒中失語症に対するアプローチとして,「脳卒中治療ガイドライン2009」5)ではSTは発症早期から集中的に,専門的に行うことが勧められている(グレードB).
近年,STの補助的な治療として,脳に対して非侵襲的に刺激を与えることで慢性期失語症の改善を促す経頭蓋直流電気刺激(transcranial direct current stimulation;tDCS)が注目されている.本稿では失語症に対するtDCS治療の実際を,症例提示を含めて解説する.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.