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書評
—Andrew Kertesz WAB失語症検査(日本語版)作製委員会 代表 杉下守弘—WAB失語症検査 日本語版
The Western Aphasia Battery
岩田 誠
1
1東京大学
pp.338
発行日 1987年4月1日
Published Date 1987/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205888
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- Abstract 文献概要
何事によらず,科学的な観察の出発点には常に,「分類」と「計量」が必要である。しかし「分類」も「計量」も,確定された標準的なものでない限り,かえって混乱を招くのみとなってしまう。とくにヒトの現象を扱う科学においては,万国共通の,確固たる分類法と計量法を持っていることが必須の条件といえよう。『WAB失語症検査日本語版』は,失語症研究におけるこのような万国共通の「分類」と「計量」の規準を与えてくれるものである。
日本語版の原典となったものは,Kerteszにより発表され,その有用性と信頼性が国際的にも充分に確立されている"The Western Apha-sia Battery"(WAB)であるが,この検査は,失語症検査という,極めて時間のかかる,複雑で厄介な検査を,コンパクトにし,しかも,検査本来の目的である失語症の病型分類と重症度の計量化を,充分に行ない得るようにした点において,大変高く評価されている。とくに従来の失語症検査と異なり,各下位検査の得点から,失語症の病型を比較的容易に分類できる点において,整然とした検査結果を導き出すことができることは,検査を行なう上でなによりも便利であろう。このような原典の意図は,日本語版においても,充分に実現されている。
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