Sweet Spot 昔話に見るリハビリテーション
「一寸法師と打出の小槌」
村田 信男
1
1東京都立精神保健福祉センター
pp.873
発行日 1996年9月10日
Published Date 1996/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108197
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一寸法師は「指にも足りない……」と歌われているように超未熟児として出生したが,幸い生命を失うことなく生育していく.しかし,年経ても大きくならぬハンディキャップをもつのである.一方,桃太郎は超過熟児で帝王切開により出生したが,やがて日本一の健康優良児となり今日まで名声が伝えられている.指にも足りぬ超未熟児を育て上げたり,難産を帝王切開で解決したりしたのだから,昔の医療水準もかなり高いものであったと推察できよう.
一寸法師はこのような生来のハンディキャップにめげることなく,むしろそれを独力で乗り越えるべく両親の心配を押し切り単身でお碗の舟に箸の櫂を操って川を逆上り京へとたどりつく.そして,何のつてもないまま関白の邸の玄関に立ち就職を申し入れる.関白は彼の臆せぬ振る舞いを見込み姫付きの守役とした.
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