Japanese
English
研究と報告
半側無視患者における文字抹消課題の「読み上げ」効果
Effect of“reading out”on Letter Cancellation Test in Patients with Unilateral Neglect.
二木 淑子
1
,
網本 和
1
,
寺本 みかよ
1
,
中館 美保子
1
,
松本 順子
1
,
青木 治人
1
Toshiko Futaki
1
,
Kazu Amimoto
1
,
Mikayo Teramoto
1
,
Mihoko Nakadate
1
,
Junko Matsumoto
1
,
HaruhitoAoki
1
1聖マリアンナ医科大学病院リハビリテーション部
1Department of Rehabilitation Medicine, St Marianna University Hospital
キーワード:
文字抹消課題
,
「読み上げ」効果
,
注意障害
Keyword:
文字抹消課題
,
「読み上げ」効果
,
注意障害
pp.555-561
発行日 1996年6月10日
Published Date 1996/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108128
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目的
左半側無視の患者の,その症状を改善させる手掛かり“cueing”を見つけることは,disability levelでの臨床的アプローチとして有用と考えられる.“cueing”効果については,Dillerらが挙げるペーシング,アンカー等が知られているが1,2),全ての半側無視患者に同様に効果があるとはいえない.どのような患者に対し,どのようなcueingが有効であるかについてはさまざまな見解があり,明確ではない3).このことの背景として,病巣により半側無視症状のメカニズムに若干の違いがあることが示唆されており4),さらに高頻度で重複する注意障害5)の程度にかなりのばらつきがあるため,個別のcueing効果に対して検証困難なことなどがある.
Robertson6)は半側無視患者における数字の順唱・逆唱成績の解離の要因を調査し,各種課題での方向性注意障害と全般性注意障害における関連を報告している.抹消課題は半側無視症状と全般性注意障害に共通して用いられるテスト課題であり6),本課題における「読み上げ」の効果についてはほとんど検証されていない.一方,「読み上げ」は言語的刺激であり,フィードバック効果があるため,有効なcueingである可能性がある7).しかし読み上げながら抹消するということは,2つの課題を同時に行うという意味で,注意障害がある場合は単に抹消のみ行うよりも難易度の高い課題となる可能性がある8).
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