Japanese
English
研究と報告
半側空間無視の生起過程に関する検討―知覚型と遂行型の分析
Two Different Types of Unilateral Spatial Neglect: Analysis on perceptual deficit type and motor deficit type.
網本 和
1
,
伏田 清子
1
,
二木 淑子
1
,
成田 信義
2
,
三好 邦達
1
Kazu Amimoto
1
,
Kiyoko Fushida
1
,
Toshiko Futaki
1
,
Nobuyoshi Narita
2
,
Kunisato Miyoshi
1
1聖マリアンナ医科大学病院リハビリテーション部
2聖マリアンナ医科大学第2内科
1Department of Rehabilitation Medicine, Saint Marianna University Hospital
2Department of 2nd Internal Medicine, Saint Marianna University School of Medicine
キーワード:
半側空間無視
,
脳血管障害
,
模写課題
,
弁別課題
Keyword:
半側空間無視
,
脳血管障害
,
模写課題
,
弁別課題
pp.631-635
発行日 1991年6月10日
Published Date 1991/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106846
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目的
右半球損傷によって生じる左半側空間無視症状は,その頻度の高さ2)と,リハビリテーションが困難である3,6,8,22)ことから,最も注目すべき高次脳機能障害の一つであるといえよう.この左半側空間無視症状の検出にはこれまで様々な課題が考案され,そのメカニズムについていくつかの理論が提唱されてきた11,16,19,21).これらのうちHeilmanら11)は線分二等分課題において「手掛かりの効果」の少ない例の存在を指摘し,unilateral hypokinesiaという概念を提出した12,13).しかし一方,Riddochら23,24)はほぼ同様の課題でHeilmanらとは逆の結果を得,「手掛かり」によって線分二等分の成績は改善を示す,すなわち半側空間無視は知覚過程で生じているものと考えた.このように半側空間無視例が直線や模写すべき図形の左側を認知しないために「左側無視」が起きるのか,認知してはいるが二等分や模写をするとき,すなわち「遂行過程」で左側無視が現れるのか,については検討すべきものと考えられる.
もし半側空間無視の生起過程の違いにより半側空間無視例の臨床像のタイプ別分類が可能であるなら,治療的アプローチを考慮する上で有用な情報を提供するものと考えられる.
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