Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
手塚治虫の障害者観(第1報)―『火の鳥』鳳凰編の我王
高橋 正雄
1
1東京大学医学部精神衛生・看護学教室
pp.379
発行日 1996年4月10日
Published Date 1996/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108090
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手塚治虫の『火の鳥』鳳凰編(朝日ソノラマ版)は,我王という障害者を主人公にした物語である.我王は,生まれた日に,父親もろとも崖から落ち,片目片腕の「世にもみにくい化物」になってしまったために,15年もの間,「村のなぐさみもの」になっていた.
そんな我王は,浜相撲の時に村人から酷い仕打ちを受けたのを契機に,何人もの人間を殺す悪党になる.しかも彼は,「おれにひとを殺させる世の中がわるい」とか「世の中がきらいなんだ.なにもかもいやなんだ」とうそぶいて,世間を非難するだけだった.
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