Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
ソポクレスの『オイディプス王』—治療者としてのクレオン
高橋 正雄
1
1筑波大学
pp.96
発行日 2021年1月10日
Published Date 2021/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202138
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紀元前420年頃発表されたソポクレス(前496/5〜406)の『オイディプス王』(高津春繁訳,『古典世界文学全集8』,筑摩書房)には,テーバイに流行した疫病に対するオイディプス王の対応を描いた感染症文学としての側面もある.
『オイディプス王』の冒頭部分に,「わが民はみな病み」「滅びる者の数は知れず」「疫病調伏の祈願の声は歎きと混ってひびきわたる」とあるように,テーバイは疫病流行の最中にあったため,オイディプスは病の原因を突き止めるべく,デルポイの神託に使者を送る.するとアポロンの神は,「この土地の穢れを払い,不治となるまで養いおくな」として,先王ライオスを殺害した犯人を探し出して罰するよう命じたのである.
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