Japanese
English
症例報告
若年重症脳外傷患者3例の経験―長期経過よりみられる特徴とその問題点
Severe Traumatic Brain Injury: Report of Three Cases of Young Adult.
渡辺 修
1
,
大橋 正洋
1
,
小川 浩
1
,
奈良 博恵
1
,
米本 恭三
2
,
宮野 佐年
2
Shu Watanabe
1
,
Masahiro Ohashi
1
,
Hiroshi Ogawa
1
,
Hiroe Nara
1
,
Kyozo Yonemoto
2
,
Satoshi Miyano
2
1神奈川県総合リハビリテーションセンター
2東京慈恵会医科大学リハビリテーション科
1Kanagawa Rehabilitation Center
2Department of Rehabilitation, Jikei University School of Medicine
キーワード:
重症脳外傷
,
家族
,
システム
Keyword:
重症脳外傷
,
家族
,
システム
pp.257-260
発行日 1996年3月10日
Published Date 1996/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108063
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はじめに
近年の救急医療の進歩によって,重症の脳外傷患者も若年者であれば生命予後は良好となっている1).しかし社会復帰に関しては,若年者であるほうが課題が大きい.すなわち脳外傷患者では,身体的および知的機能の双方に障害を残し経過が遷延する.そのため医療者は,包括的かつ長期的視野を持って対応することが必要であるが,実際には困難なことが多い.その結果,患者と家族は,将来の具体的方針が決まらないまま,社会から隔絶される傾向がある1,2).
今回われわれは,若年の脳外傷患者3例を7年間経過観察する機会があった.この3例は,機能および能力障害の内容が異なるものの,同じ時期に同じ病棟でリハビリテーション医療を受けており,そのため経過を比較しながら外来対応を続けることができた.さらに,それぞれの母親は相互に協力して情報交換や福祉資源の活用を図ることができた.この3例を検討することで脳外傷患者の問題点が明らかになると考えられたので,文献的考察を加えて報告する.
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