Japanese
English
特集 リハビリテーションにおける電気刺激療法
麻痺筋・廃用筋に対する治療的電気刺激
Therapeutic Electrical Stimulation for Muscles with Paralysis and Disuse Atrophy.
半田 康延
1
Yasunobu Handa
1
1東北大学大学院医学系研究科運動機能再建学分野
1Department of Restorative Neuromuscular Surgery and Rehabilitation, Tohoku University Graduate School of Medicine
キーワード:
治療的電気刺激
,
筋
,
中枢性運動ニューロン障害
,
末梢神経障害
,
筋萎縮性側索硬化症
Keyword:
治療的電気刺激
,
筋
,
中枢性運動ニューロン障害
,
末梢神経障害
,
筋萎縮性側索硬化症
pp.211-218
発行日 1996年3月10日
Published Date 1996/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108055
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はじめに
電気刺激が脳卒中などによる運動麻痺の治療に始めて用いられたのは,静電気発生装置や蓄電器であるLeyden瓶が発明された18世紀中期である.それまでにも,シビレエイなどの電気発生動物で痛みやてんかんを治療していた経緯もあり,電気刺激が麻痺肢治療に急速に応用されるようになった.1753年,Quelmalzは片麻痺患者の麻痺手に電気刺激を与え,上肢運動機能に著明な改善をみたと報告している.しかし,このような成功例が報告される一方で,電気刺激の治療効果を疑問視する報告も多く見られる.事実,電気刺激の効果を誇大に記載し,批判が生じるのが当然と思われる文献も見受けられる1).
このような電気刺激治療の積極的支持派と消極派(積極的反対派も含む)との論争は現代までも持ち込まれている.ことに運動麻痺における筋萎縮,筋力低下,痙性,随意性の低下に対し,電気刺激療法は有効であるとの報告がある一方,電気刺激は無効かあってもその効果は微々たるものであるとの見解をとる臨床家は多い.事実,物理療法における低周波電気刺激は,さほど主体的な治療法とはなっていないのが現状である.
そこで本稿では,電気刺激が運動麻痺に対しどのような効果があるのか,筆者の経験も含めて紹介したい.
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