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はじめに
Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)症は,筋力低下,筋萎縮,関節変形拘縮,心肺機能低下ならびにこれらに伴う日常生活活動(ADL)の障害を主症状とした進行性の筋疾患である1).初発徴候は転びやすい,つまずきやすい,走るのが遅いなどで2~5歳前後から現れる.筋力低下は上下肢の近位部,抗重力筋から始まるが,走ることを除いてADLは比較的よく保たれている.しだいに,腓腹筋など仮性肥大が著明となり,尖足,腰椎前彎の傾向も現れるほか,動揺性歩行となる.10歳前後で歩行不能となる.この頃には,四肢関節の拘縮・変形をはじめ,脊柱側彎,胸郭変形などがみられる.15~17歳には座位保持が困難となり,臥床生活となることが多い.20歳前後に呼吸不全や心不全などで死亡することが多い.
最近では,20歳代後半まで延命する者も増えている.しかし,現在のところDMDの根本的な治療法はなく,症状・障害の進行に合わせた適切なケアにより,生活の質(QOL)を高めることがリハビリテーションの基本となる2).リハビリテーションとしては幼児期に始まり,その後の発育の過程における身体的機能の障害に対する医療,人間形成の基礎づくりの教育,社会生活への支援など,大きくは3つの基本的アプローチがある3).このうちには,栄養,心理,看護,生活指導などの分野も関わり多面的な取り組みが必要で,これらのチームワークのうえに成り立つリハビリテーションである.したがって,DMD児の在宅療養生活は,家庭,病院,学校などと多方面に及び,療養(入院・通院)と家庭生活,学校生活などとの両立が前提となっている4,5).
本稿では,このような観点より在宅のDMD児のケースワークについて述べることにする.
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