特集 神経系疾患と臨床検査
Ⅰ.生化学・遺伝子
10.Duchenne/Becker型筋ジストロフィー
林 由起子
1
,
荒畑 喜一
1
Yukiko HAYASHI
1
,
Kiichi ARAHATA
1
1国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第一部
pp.1277-1281
発行日 1997年10月30日
Published Date 1997/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903476
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
はじめに
筋ジストロフィーは骨格筋の変性・壊死を主病変とし,進行性に筋力低下と筋の萎縮性変化をきたす遺伝性筋疾患の総称である.この中には遺伝形式も臨床像も異なる,いくつもの疾患が含まれている.このうち,最も多いのが,Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)である.X染色体短腕に存在するDMD遺伝子には,ジストロフィンと呼ばれる蛋白質がコードされている.臨床的に良性の経過をとるBecker型筋ジストロフィー(BMD)もまた,DMD遺伝子の異常による.ジストロフィンの発見以来,DMD/BMD以外にもいくつもの筋ジストロフィーの遺伝子座と原因遺伝子が相次いで同定されている.本稿ではDMD/BMDに焦点を当て,その臨床ならびに生化学的,遺伝学的検査を中心に述べたいと思う.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.