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特集 慢性進行性神経疾患・Ⅱ
遺伝
Duchenne型筋ジストロフィー—最近の知見
Duchenne muscular dystrophy: Review of recent studies
古川 哲雄
1
Tetsuo FURUKAWA
1
1東京大学医学部脳研究施設神経内科
1Department of Neurology, Institute of Brain Research, School of Medicine, University of Tokyo
pp.1014-1022
発行日 1972年12月10日
Published Date 1972/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903452
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はじめに
進行性筋ジストロフィー(Dystrophia musculorum progressiva,DMP)は,骨格筋の遺伝性変性疾患である。DMPのなかには,臨床症状,遺伝形式の異なるいくつかの型が含まれているが,Duchenne型は最も重症で幼児期に発病し,進行がはやく,また患者数も最も多く,DMPのなかの代表的な型といえる。本型についての詳細な記載は,Duchenneの1868年の論文1)によってなされ,それによって彼の名がつけられたわけである。わが国でもすでに1888年,佐藤2)により最初の報告がなされている(これより先,1887年,橋本3,4)による報告があるが.その記載内容から,この症例はおそらく先天性DMPと考えられる)。したがって本症に対する研究は一世紀以上の歴史を有するわけであるが,現在のところその病因も治療法もわかっていない。しかし最近になって,本症に関する研究は急速な進歩をとげつつある。本稿においては,Duchenne型DMPに関する各種の研究の中で,遺伝,罹患筋の変化,および発生病理の問題について著者らの行なった研究を中心にして述べる。
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