Japanese
English
研究と報告
下肢切断者におけるAnaerobic Threshold決定のための片脚エルゴメータ負荷テストの有用性
The Availability of One Leg Cycling Test for Detection of Anaerobic Threshold (AT) in Amputees.
陳 隆明
1
,
澤村 誠志
1
,
中島 咲哉
1
,
小嶋 功
1
,
大薮 弘子
1
,
長倉 裕二
1
,
中川 昭夫
1
,
原 泰久
1
Takaaki Chin
1
,
Seishi Sawamura
1
,
Sakuya Nakajima
1
,
Isao Ojima
1
,
Hiroko Ooyabu
1
,
Yuuji Nagakura
1
,
Akio Nakagawa
1
,
Yasuhisa Hara
1
1兵庫県立総合リハビリテーションセンター
1Hyogo Rehabilitation Center
キーワード:
Anaerobic Threshold(AT)
,
下肢切断者
,
片脚エルゴメータ負荷テスト
Keyword:
Anaerobic Threshold(AT)
,
下肢切断者
,
片脚エルゴメータ負荷テスト
pp.875-878
発行日 1995年10月10日
Published Date 1995/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107960
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はじめに
下肢切断者における義足歩行,とくに大腿義足歩行は健常者の歩行に比べてかなりのエネルギー消費の増加を伴う1,2).したがって義足歩行が身体に与える負担は少なくなく,全身運動としてとらえるべきものである.一方,下肢切断者は義足装着ゆえに日常の身体活動が低下しやすく,体力の低下を招きやすい.上述のごとく義足歩行はエネルギー消費の増加を伴うことから,加齢等により一旦体力が低下すると,義足歩行に際し易疲労性となり,身体活動がさらに低下することとなる.
この悪循環を絶ち切るためには,体力の維持,増進のための運動の必要性が生じてくる.適切な運動処方ないしは指導を行うためには,運動療法の強度の設定,効果判定の基準となる指標が必要である.Anaerobic Threshold(以下,ATと略)はWassermanによって導入された概念で,“無酸素性過程が有酸素性過程を補うようになる時点での酸素摂取量”と定義し3,4),漸増負荷テストを行うことにより呼気ガス分析によって非侵襲的にとらえることが可能であるとした.ATは運動能力の一指標として,特に持久的能力をよく表すとされている5,6).
しかしながら,下肢切断者においては義足装着前は無論のこと,義足歩行が可能であっても,従来から行われているトレッドミルなどの運動負荷テストによる体力評価は困難なことが多い.そこでわれわれは運動負荷方法として健側下肢による片脚エルゴメータ負荷テストを行い,下肢切断者におけるAT決定のための有用な方法となりうるか否かを検討したので報告する.
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