Japanese
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実践講座 リハビリテーション看護テクニック
1.脳卒中患者―嚥下障害の克服,排尿の自立への援助を中心に
Nursing for CVA Patients: Approaches to Dysphagia and Toileting.
清水 邦子
1
,
小俣 たか子
1
Kuniko Shimizu
1
,
Takako Omata
1
1石和温泉病院
1Isawa-onsen Hospital
キーワード:
脳卒中
,
嚥下障害
,
口腔相
,
排尿動作
,
家庭復帰
Keyword:
脳卒中
,
嚥下障害
,
口腔相
,
排尿動作
,
家庭復帰
pp.603-608
発行日 1994年7月10日
Published Date 1994/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107653
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はじめに
脳卒中は昭和45年(1970)をピークに死亡率は徐々に減少してはきているものの,いまだに死亡原因の第3位に位置し,また命をとりとめたものの重度障害をかかえたまま生きなければならない人も多い.当院は脳卒中患者が5割を占めるリハビリテーション病院であるが,その人なりの生活の再構築の支援はほんとうに難しいと実感している.疾患の種類,部位と程度はもちろん,急性期の医療者のかかわり方などは予後を左右する大切な要素であるが,同時にリハビリテーションの開始時期はより大切であり.基本的生活行為の早い獲得ができるか否かが将来の生活再建の鍵であろう.
特に食事と排泄の自立は,一個の独立した人間として存在を可能ならしめる大きな意義をもっている.食事と排泄を他人に委ねている人は行動のみならず心理的にも依存的であり,乳幼児の行動によく似て,保護者の存在なしには何もできないことと同一である.各々の患者のもてる能力を最大限に活用し,その人にあった生活の再建が目標とされるリハビリテーション看護では,単に,食事ができ,排泄ができることを目指すのではなく,自立した一個の人間として存在できることが出発点になることを忘れないようにしたい.
今回,そのように大切な意味をもつ,食事,排泄の自立に向けての支援の1例を報告し,ご批判を仰ぎたい.
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