巻頭言
現場の視点で考える
高濱 潔
1
1名古屋市総合リハビリテーションセンター
pp.453
発行日 1994年6月10日
Published Date 1994/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107623
- 有料閲覧
- 文献概要
事故や突然の疾病で大きなハンディキャップを背負うこととなった場合,本人および家族の受ける衝撃は,他人の推測の及ばないものがある.そして,退院して在宅生活を送ることとなると,在宅での医療の継続・リハビリテーションの方法,福祉用具の入手・使い方,住宅改造等,何をどうすればよいのか不安が倍増する.それぞれの専門分野では答えが用意されているだろうが,必要とする人に十分に伝わらないことが少なくない.かなりのレベルに達している医学的リハビリテーションに対し,在宅生活を支える「福祉」=社会的リハビリテーションは,遅れの目立つ分野である.これは障害別・程度別に個別対応されてきたサービスが体系化されていないこと,各人の生活環境等が異なりニーズの把握が難しいこと,財政的問題,マンパワーの問題などが原因と考えられる.『国連・障害者の十年』の成果,昨年策定された新長期計画で「障害者の主体性・自立性を確立し,全ての人の参加による全ての人のための平等な社会づくり」の基本的考え方が示されたことより,医学的リハビリテーションと肩を並べる日の近いことを期待している.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.