ぱんせ
「川崎病のいま」を看護の視点から考える
鬼束 友理
1
1大阪厚生年金病院
pp.172-173
発行日 2007年2月1日
Published Date 2007/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100874
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川崎病に挑んだ歴史と経緯を知る
川崎病は以前は診断不明の疾患であったが,今では新しい疾患として認められ,長年の研究によりさまざまな機序や治療法が確立されてきている.『川崎病は,いま』には,名前の由来となった川崎富作氏がこの病気と出会い,世界に認められるまでになる過程や,原因究明のため現在も行なわれている取り組み・研究について書かれている.
世間に存在が認められていなかった疾患が,川崎病と認められるまでどれだけの努力があったか私には想像もつかない.しかし川崎氏にとって初めての川崎病患者であった1人の患児との出会いをきっかけに,その症状や患児に関心・疑問を持ち続けたことがひとつの疾患の確立につながったのだと感じた.周りからの風当たりの厳しい中でも,医師としてひとつの疾患の確立と原因究明のために向けられた努力とその熱意を感じ,同じ医療に携わるものとして尊敬できた.毎日の忙しさを理由にいつの間にか少なくなっていたが,興味のあるところに情熱をもって打ち込むということの意義を考える機会となった.
ただ,この本には医師としての立場で川崎病について述べられているため,看護についてはあまり触れられていない.だから著書を読み看護師としての視点で私が考えたことを書いてみたい.
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