特集 産科におけるアメニティ
産科のアメニティを看護の視点から考える
柳吉 桂子
pp.635-639
発行日 1992年8月25日
Published Date 1992/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900625
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はじめに
アメニティは,日本語では「環境の快適性」,「魅力ある環境」,「生活の質」などと訳されるようだが,一般的には快適性を表す概念である。もともとは都市計画において使われるようになった言葉なので,本来は場所や環境などの快適さのことをいう。アメニティの価値を数字で表すことは難しい。ある意味で,人間にとっては生きていくうえでかけがえのない価値を持つものである。
近年,医療現場においてもアメニティという言葉をよく耳にするようになってきた。かつて医療現場においては,まず第一に人の命を救うことが優先され,その人にとっての気持ちよさというような価値については,ほとんど注目されることはなかった。しかし近年,ヘルスケアに対するニーズの変化や生活の質(QOL)の重視,また慢性疾患患者などのように治療・管理を受けながら日常生活を送るなど,医療の中に生活が含まれるようになってきた。
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