巻頭言
都市型総合病院でのリハビリテーション
伊佐地 隆
1
1東京都立大塚病院リハビリテーション科
pp.5
発行日 1994年1月10日
Published Date 1994/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107521
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リハビリテーションの守備範囲は幅広く,理念は一つといえどもその内容は施設によりさまざまである.こと医療に限っても主として扱う疾患,年齢などにより細分化している.その中にあって,一つの存在形態として,都市型(居住地近接型)総合病院の中に,ICUのごとく一つのユニットとしてリハビリテーション(科)のある病院群がある.既存の一般臨床科とは別に,リハビリテーション科として総合的な訓練部門はもちろんのこと,独自のベッド(できれば1病棟単位)を持ち,MSW,心理なども備えているような形態である.
私達の経験から感じたメリットを2つの側面から考える.1つは総合病院であることから,①疾患の発症からすぐに対応できる.②重い合併症や常に治療を要する基礎疾患を持つ患者にも医療チームで対処できる.③リハビリテーション中に他科での治療を要する疾患を合併しても転院などの時間的ロスなくスムーズに対応できる.2つめ,都市型であること,すなわち病院が自宅に近いということから.①家族がいつでも面会に来られる.それにより家族と患者が疎遠にならず,患者の存在が家族の生活の一部となり.家族は自然に抵抗なく介助介護の手を出せるようになり(もちろん常に教育指導は必要),患者も心理的安定が得られる.②外泊訓練が早期から進めやすい.③家屋評価に行きやすい.④外来通院しやすいため外来訓練に移行しやすく退院を早められる.⑤復学復職などの調整もしやすい.⑥退院後も患者同士で行き来しやすく交友関係を続けやすい(患者会への発展).⑦地域の中核病院として地域リハビリテーションの一翼を担える.
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