特集 保健婦にとっての地域
都市型社会の地域とは—その課題と展望
奥田 道大
1
1立教大学社会学部
pp.258-263
発行日 1991年4月10日
Published Date 1991/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900214
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都市化社会から都市型社会へ
第二次大戦後にかぎって見ても,社会構造の都市化には2つの流れがある。それは,都市化途上段階の都市化社会(Urbanizing Society)と,都市化成熟段階の都市型社会(Urbanized Society)の2つの流れである。都市化社会は,1960年代の高度成長期を中心に展開された。1970年代のオイルショックを挾んで80年代,そして90年代の現在は,明らかに都市型社会の段階にある。
人口移動の面で見ると,都市化社会段階は,東京や大阪の大都市地域への地方市町村からの若年単身者を中心とする,一方的流れにあった。東京や大阪が過密,地方市町村が過疎問題を抱える時期でもあった。また地方からの若年単身者が世帯を構えるようになると,最初の住まいの場であった中心市街地の木賃アパートから,郊外の団地,建て売り住宅等のマイホームを求めるようになる。従って,都市化社会段階は,大都市地域自体の郊外化,スプロール的(蚕食的)とも言える新郊外拡大化の時期でもあった。
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