特集 今求められる結核対策(2)—事例集
都市型社会の健康リスクと結核
前田 秀雄
pp.546-550
発行日 2000年7月10日
Published Date 2000/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902217
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大都市結核の現状
1998年の結核罹患率が38年ぶりに増加に転じたことから,昨年,結核対策緊急事態宣言が発表された。近年,決して地域保健の分野で優先順位が高いとは言えなかった結核対策がにわかに脚光を浴び,担当者にとっては心強い限りである。しかし,都市部で結核対策に取り組む者にとって,若干の違和感があったことも否めない。
というのは,都市部においては結核罹患率はすでに1980年代末よりほぼ横這い状態で推移し,前年を上回ることも特に珍しいことではなく,「結核罹患率は常に減少する」という神話はとうの昔に崩壊していたからである(図1)。
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