特集 地域におけるターミナルケア
都市型在宅ホスピス
川越 厚
1
Koh KAWAGOE
1
1白十字診療所在宅ホスピス部
pp.614-617
発行日 1993年9月15日
Published Date 1993/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900875
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◆はじめに
わが国においては,家で死にたい希望を持っていても,末期がん患者の中で実際に家で死ぬことができる人は,たかだか7%である.
家で死ねるかどうかは別としても,末期がんと診断されてから死亡するまでには,入院するまでのかなり長い期間を家庭で過ごさなければならない.末期がん患者のケアで,最も欠けている部分である.
在宅ホスピスの第1の目標は,在宅末期がん患者と家族を対象にしたホスピスケアを行うことである.第2の目標は,在宅期間を延長することである.在宅死は在宅ホスピスの目的と考えるよりも,むしろ結果と考えるほうがよい.そして第3の目標は,在宅と施設でのケアを,ホスピスケアという点で,一貫性をもたせることである(図1).
わが国でホスピス,特に在宅ホスピスが育つためには,わが国固有の土壌に見合った育て方が重要である2).日本型在宅ホスピスの特徴は,第1に医師積極参加型であること.第2は,訪問看護婦主導型であること.第3は,家族積極参加型であることである.在宅ホスピスといっても,一般にはなかなか理解され難く,現実に在宅でのホスピスケアを受けられる患者は,少なくとも今の日本ではきわめて稀である.
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