解説
精神保健法改正について―歴史的経緯と問題の認識
吉川 武彦
1
1国立精神・神経センター精神保健研究所
pp.893
発行日 1993年10月10日
Published Date 1993/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107473
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精神障害者の法的処遇は1900年(明33)の精神病者監護法に始まるが,これによって精神障害者の私宅監置が合法化した.1919年(大8)の精神病院法で道府県に精神病院を設置することが定められ,1950年(昭25)に精神衛生法が制定されるまでは2法でわが国の精神障害者処遇が行われた.
精神衛生法は,第1条に「精神障害者等の医療と保護」を行うことを明確にしたが,第48条では「法定施設外収容禁止」を規定し,精神病院など法によって収容が許されている施設以外に精神障害者を収容してはならないと定めた.1965年(昭40)に精神衛生法の大改正が行われ,入院治療から在宅治療の道を開いた.通院医療費公費負担制度(第32条),保健所相談・訪問の実施と精神衛生相談員(現・精神保健相談員)や精神科嘱託医の設置(第42,43条),都道府県精神衛生センター(現・精神保健センター)の設置と相談指導のうち複雑困難なものを扱う(第7条)こととなった.
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