スコープ
'95精神保健法改正について―方向は定まったがこれでいいのか
吉川 武彦
1
1国立精神・神経センター武蔵病院
pp.819-820
発行日 1995年9月10日
Published Date 1995/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107947
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1.'95改正の背景
精神障害者をめぐる環境が大きく変わった.この変化のうち最大のものは1993年(平5)12月の「障害者基本法」の成立であろう.この法の目的に「すべての障害者は,社会を構成する一員として社会,経済,文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるものとする」とされ,国および地方公共団体の責務が福祉の増進を優位にした他,障害者基本計画の策定を命じた.また,この法では障害者を「身体障害,精神薄弱または精神障害があるもの」と明定した.
また1994年(平6)3月には「地域保健法」が成立し,地域保健が総合的に見直され,地域保健に関する都道府県と市町村の役割分担が明確になった.当面,精神保健の全てを都道府県が担うとしても,この先は精神障害に関わる精神保健は都道府県が,精神健康の保持増進に関わることは市町村が担うことになるであろう.とはいえ実際面では作業所などの助成はすでに市町村が取り組みつつあり,これらがどのように事業分担されるか,まだ混沌としている.
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