連載 障害者の就労支援・第2回
難病患者における就労支援
春名 由一郎
1
Yuichiro Haruna
1
1独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構障害者職業総合センター
1National Institute of Vocational Rehabilitation
キーワード:
職業リハビリテーション
,
合理的配慮/障害者差別禁止
,
障害者雇用率制度
,
医療・福祉と雇用の連携
,
治療と仕事の両立支援
Keyword:
職業リハビリテーション
,
合理的配慮/障害者差別禁止
,
障害者雇用率制度
,
医療・福祉と雇用の連携
,
治療と仕事の両立支援
pp.1143-1146
発行日 2022年9月10日
Published Date 2022/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202622
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はじめに
「難病」は本来重篤な疾病であるが,医療の進歩で慢性疾患化が進んでいる.ただ未だ難病の根治治療は困難なため,治療が終わってからの就労ではなく,治療と仕事の両立が課題となり,具体的には,仕事の負荷と休養・回復のバランスが取りやすく,通院や業務調整が可能な仕事や職場の確保が不可欠である.現在,難病対策では,難病患者の治療と医療費を支えるとともに,治療と両立した就労などの社会参加支援が重要課題となっている.障害者総合支援法や障害者雇用促進法では,障害者手帳の有無にかかわらず,難病患者は障害者として支援対象となっている.
生産年齢にある難病患者はわが国で約70万人であり,その半数近くは一般就業していることから,大企業では数十人単位,中小企業でも数名は難病患者が働いている計算になる.「難病患者」と一口にいっても,難病患者の半数以上の障害者手帳制度の対象でない「軽症者」から,難病を原因疾患として障害者手帳制度の対象である人,そして,全身麻痺のような最重度の障害のある人まで,その状態像は多様である.
本稿では,そのような多様な難病患者の就労支援ニーズを見極め,障害者就労支援のメニューを的確に活用することの重要性を述べる.
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