Sweet Spot おとぎ話に見るリハビリテーション
「浦島太郎と玉手箱」―精神障害者のリハビリテーション過程
村田 信男
1
1東京都立中部総合精神保健センター
pp.1109
発行日 1992年10月10日
Published Date 1992/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107219
- 有料閲覧
- 文献概要
浦島太郎は成人したある時期から発病し,幻覚妄想の世界に入っていく.「陸から海底へ」ということは,現実の世界から非現実の世界に入っていくことを示唆している.幸い被害妄想ではなく,乙姫によるもてなし妄想であったようだが,「飲めや歌えの舞い踊り……」という表現に示されるようにかなりの興奮状態だったようだ.しかしやがて寛解状態になり,妄想の世界から現実の世界へ(海から陸へ)戻ってくる.すなわちリハビリテーション過程である.
浦島太郎の物語の面白さは,このリハビリテーション過程における「玉手箱」の役割にあると思う.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.