肢体不自由児施設

はじめに

　1951年5月，「児童憲章」が宣言された．「日本国憲法の精神にしたがい，児童に対する正しい観念を確立し，すべての児童の幸福をはかるために」定められたこの憲章は12の項目からなっている．その第11項には「すべての児童は，身体が不自由な場合，または精神の機能が不十分な場合に，適切な治療と教育と保護が与えられる」とうたわれている．ここに不自由児療育の基本があり，肢体不自由児施設設置の法的根拠の一つがある．

　これより8年後の1959年11月，国際連合総会の趣旨にしたがい「児童権利宣言」がなされ，「児童の権利を守るよう努力することを要請」された．第5条には「身体的，精神的または社会的に障害のある児童は，その特殊な事情により必要とされる特別の治療，教育および保護を与えられなければならない」と「児童憲章」よりも一歩踏みこんで明示された，内容には「漸進的に」との言葉はあるものの，児童の権利を認めると共に，10か条の宣言を義務づけたものと言える．