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増大特集 知っておきたいリハビリテーション・テクニック
機能障害へのアプローチ
言語障害に対するアプローチ―失語症のリハビリテーション技法
Approaches to Aphasia Rehabilitation.
竹内 愛子
1
Aiko Takeuchi
1
1七沢リハビリテーション病院脳血管センター
1Nanasawa Rehabilitation Hospital, Comprehensive Stroke Center
キーワード:
失語症
,
コミュニケーション
,
言語治療
Keyword:
失語症
,
コミュニケーション
,
言語治療
pp.983-988
発行日 1992年9月10日
Published Date 1992/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107194
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はじめに
失語症の言語治療に大きく貢献したのは伝統的な刺激法であることは論をまたないが,近年特に1980年代以降この領域は目ざましい展開を遂げつつある.
失語症治療技法についての理論的根拠はこの領域が行動科学であるとは言え,十分実証的とは言い難く研究者の失語観を反映した仮説である場合が多い.またその仮説もそれぞれの時代の研究の進歩と表裏をなしその枠組みを越えないものとなっている.Schuell30)は失語症治療の目標を患者の「コミュニケーションの改善にある」としながらも,そこでのコミュニケーションの考え方は今日的な拡がりを持たず訓練は言語能力の改善を目指すものであったのに対して,近年では言語・非言語のすべての様式を介してコミュニケーションの改善をはかろうとする方向に拡大され,訓練の目標も「コミュニケーション能力の改善によって患者のQOLを高める5)」と定義される.本稿では文献に紹介される多数の技法の中から言語治療士(以下,STと記す)が利用しやすい代表的技法を紹介する.しかし実際の訓練を進めるに当たってはSTは特定の理論にこだわらず,患者の症状に応じてあるいは同一患者でも時間的経過による変化に応じて最も適当と思われる技法を取捨選択し利用している20,31).
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