巻頭言
リハビリテーション・ミニマム
椿原 彰夫
1
1慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター
pp.191
発行日 1992年3月10日
Published Date 1992/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107020
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米国のリハビリテーション専門医制度の発足は1947年であるが,わが国は35年も遅い1982年である.「非常に遅れている」との認識で米国リハビリテーション医学アカデミーや種々の国際医学会に出席してみると,意外にそんな感じがしない.米国で一世を風靡した嚥下障害のリハビリテーションや脳挫傷のリハビリテーション,運動単位の分析などは既に日本でも同様に発表が行われ,遜色のない状態にある.「非常に素晴らしい」と絶賛すべき報告は,日本リハビリテーション医学会と同様,そう数多いものではない.
では,日本のリハビリテーション医療は最早遅れを取り戻して,欧米諸国に追いついたかと言うと,答は当然「ノー」である.日本と欧米の最大の較差は「リハビリテーション・ミニマム」にあると思われる.すなわち,日本のリハビリテーション医療は頑張っているトップのレベルは決して低くはないが,ボトムのレベルは全く駄目だというわけである.
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