発言あり
シビル・ミニマム
S
,
Y
,
M
,
I
,
H
pp.581-583
発行日 1971年10月15日
Published Date 1971/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204347
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ささやかな願い
せめて子供達が安心して遊べる小さな広場がほしい,せめてきれいな飲み水ぐらいはほしい,せめて立居振舞の不自由なお年寄のお世話ぐらいは何とかして上げられないものか,せめて夜ぐらいは静かに眠らせてほしい,せめて前の川を見た目ぐらいはきれいにできないものか,せめて……,せめて……といったさまざまな「ささやかな願い」は一向にかなえられそうにないまま,経済大国ニッポンなどと聞かされてもさっぱりピンとこない人が多いに違いない.確かにカラーテレビも買った,飛行機に乗って旅行もした,どこでも都会風に便利そうになった,だが今は…….
激しい勢いで進んできた工業化社会の中で都市といわず農村といわずわれわれの生活も大きく変ってきた.たとえば家庭を考えても,その機能の縮少・単純化(時に崩壊)は,社会的に充足しなければならない需要,解決しなければならない問題を増加させているし,さらに余暇と情報の増加は,この需要や問題を高度化し,多様化させていくだろう.いわば「ささやかな願い」による消費の社会化は必然であるといえる.
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