書評
亀山正邦 編―病態別脳卒中治療マニュアル
赫 彰郎
1
1日本医科大学第2内科
pp.940
発行日 1991年9月10日
Published Date 1991/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106912
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
近年,脳卒中の死亡率は急激に減少し,死因別死亡率の第3位となった.その減少率も欧米諸国の比較においても際だっており,この面からの訓療に携わる人たちにとっては誇るべきことである.しかし,脳卒中の発生率をみると,高齢者においては必ずしも減少しているとは限らず,むしろ横這いの状態である.その原因としては,高齢化社会の到来による老齢人口の増加とCT,MRI,SPECTあるいはPET等の画像診断機器の進歩により,従来診断不可能であった小病変をも捉えることが可能となったこともある.それだけに,脳卒中の診療に携わる者にとっては,より精度の高い診断,さらに超急性期より慢性期に到るまでの各病期ごとの十分な病態把握と,それに適した治療を選択しなくてはならない.そのことが,今日社会問題化している寝たきり老人,痴呆老人の医学的な面よりの対策につながると考える.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.