書評
—総編集 亀山正邦・亀田治男・高久史麿・阿部令彦—今日の診断指針 第2版
尾形 悦郎
1
1東京大学
pp.806
発行日 1988年9月1日
Published Date 1988/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206165
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診断学の教科書あるいは鑑別診断のための成書として,欧米からも本邦からも多くの名著が世に出されてきた。しかし,実際には内科診断学の入門書を例外として,これらが充分に利用されてきたとは思えない。診断のためのアプローチがレントゲン写真,CT,エコー,更にはMRI等のイメージ診断の分野で発展し,また中央検査室業務を中心とした検査室検査による診断の分野で発展するなど,細分化されるにつれ,それぞれの分野の成書は読むことはあっても,診断のための一般書を手にする機会はほとんどなくなってしまった。一方で,近年では内科教科書の多くがproblem solvingということを意識して編纂され,必然的に鑑別診断に必要とする情報が一般内科書から得られるようになり,この傾向に一層の拍車がかけられた。
しかし一般内科書から得られる情報は現場から一歩退いて考察されたものであり,実際には実地臨床の場で即座に診断の助けとなるガイドとしての役割を果たす書物が依然として必要であることは言うまでもない。更に最近,欧米では診断基準が次々と改められて行っている。事情は我が国でも同様で厚生省の各種研究班あるいは各種学会の研究班などにより,我が国独自の診断基準も次次と設けられ,この情報は欧米文献からは決して入手できない。up-to—dateの我が国独自の診断のためのガイドブックも強く求められている。
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