書評
亀山正邦 編―脳卒中治療マニュアル
平川 公義
1
1東京医科歯科大学医学部脳神経外科
pp.609
発行日 1991年6月10日
Published Date 1991/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106841
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困るんだなあ,こんな本が出ると.鬼軍曹たちの呟きである.どの大学の,どこの教室でも,要領の良い手合いがいるものである.「えー,この症例は……,症候の特徴とCT所見とから……,診断はしかじか.強いて分類すれば……斯くかくの如くとなります.因みに,mysery perfusionとは……」.何処で仕入れたのかソツがない.虎の巻だか,安ちょこがあるはずなのだが,それを感じさせない.どうせ昨夜の入院だ.調べる暇はあるまい,少し絞ってやるかと考えるとすれば,先輩の面目は丸潰れだ.本書を白衣のポケットに忍ばせ,直前に斜めにみるだけで,回診はチョロイもんだ,病歴だってすぐ書ける.指導者泣かせ.必要なことは網羅してある.本書には,内科系・外科系の当代のトッププロの手によって最新の知識がまとめられているのだ.
どの施設でも,あとで調べるとき,病歴記載が不備で,うまく統計が取れなくて困ることがある.
そこで,病歴にせめてこれだけは記載して欲しいと,分類一覧を載せたマニュアルを作るのだが,これがなかなか上手くできない.本書はまさにこれを意図している.脳卒中ならば,このマニュアルがあればよい.
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