Japanese
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講座 歩行(10)
視覚運動系からみた歩行
Inspection of Gait from Visuo-motor System.
森本 茂
1
,
真野 行生
2
Shigeru Morimoto
1
,
Yukio Mano
2
1奈良県立医科大学リハビリテーション部
2奈良県立医科大学神経内科
1Central Rehabilitation Servicese, Nara Medical University.
2Department of Neurology, Nara Medical University.
キーワード:
歩行
,
視線
,
視空間感覚
Keyword:
歩行
,
視線
,
視空間感覚
pp.1029-1034
発行日 1987年11月10日
Published Date 1987/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106671
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はじめに―歩行分析における臨床歩行観察と歩行での視線の役割について
人間が生活していくためには,歩行ということは不可欠であり,動物が生きていくためにも非常に重要なものである.リハビリテーション医学では,歩行の観察,診察,評価,そして治療には,大きな比重がおかれている.それらに関した研究も数多くあるが,定量的分析方法は少ない.エレクトロニクス,メカトロニクスの現在のところの最先端として歪みゲージ式床反力計,ピエゾ電気式床反力計,半導体カメラ,反射カメラ,電気角度計,加速度計,ビデオカメラ,多重露出カメラ,フットスイッチ等を駆使した歩行分析機が,いろいろな施設で多く設置され,それらの研究は一歩一歩進んでいる.窪田は歩行観察と歩行機器検査との対比を行っている1,2)(表1).観察による分析,機器による分析両者にそれぞれの長所短所がある.土肥は,臨床歩行観察は現在あるどのような歩行分析機器よりも総合評価という点では優れているとしている3).観察による歩行分析チャートとしては,岩倉4),窪田1)のものなどがある.
工学的手法,観察分析手法であまり重要視されず,比較的見逃されているのが視線,視野,空間の認識のように視覚運動系およびそれにかかわった高次機能である.我々は,今回歩行について,この視覚運動系の観点より述べる.
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