Japanese
English
特集 子供のリハビリテーション
Ⅲ.子供のリハビリテーション(脳性麻痺を除く)
精神遅滞児のリハビリテーション医学的問題とそのアプローチ
Medical Problems and Habilitation Approach of the Children with Mental Retardation.
穐山 富太郎
1
Tomitaro Akiyama
1
1長崎大学医療技術短期大学部
1School of Allied Medical Sciences, Nagasaki University.
キーワード:
精神遅滞
,
早期診断
,
早期療育
Keyword:
精神遅滞
,
早期診断
,
早期療育
pp.763-769
発行日 1987年9月10日
Published Date 1987/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106608
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はじめに
米国精神薄弱学会1)によると「精神遅滞とは,一般的知的機能があきらかに平均よりも低く,同時に適応行動における障害を伴う状態で,それが発達期にあらわれるものを指す.」と定義されている.この定義で重要なことは,低IQであることだけで精神遅滞の診断が下されるのではなく,知能と適応行動との両方に障害があると確認された者だけが精神遅滞として分類されることである.
減少の傾向にあるとはいえ,精神遅滞の出現頻度2~3)は高く,ほぼ人口50人に1人(出生100に対し2~3)の率に上っている.
精神遅滞の原因は脳性麻痺と同様に出生前,周産期,出生後障害の多岐にわたるが,受精卵性(遺伝性)障害のほかに環境性因子に関連して発生する例も多い.とくに未熟児をふくめリスク・インファントが増加する傾向にある現代において,典型的な脳性麻痺児にかわって精神遅滞児が相対的に増加しつつある.リスク・インファント199例についての調査結果4)では,成熟児に比して未熟児において脳性麻痺に対する精神遅滞の発生率が高く,未熟児のなかでもAFDと比してSFD,極小未熟児において精神遅滞の発生率が高かった.
本稿では,Ⅰ.精神遅滞児の発生背景,Ⅱ.早期診断,Ⅲ.早期療育,Ⅳ.療育概念,について述べる.
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