Japanese
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紹介
二分脊椎児の教育保障―アメリカ判例の分析
Educational Rights of the Children with Spina Bifida: Analysis of US Court Cases.
山田 欣徳
1
Yoshinori Yamada
1
1筑波大学
1The University of Tsukuba.
キーワード:
二分脊椎
,
教育保障
Keyword:
二分脊椎
,
教育保障
pp.623-627
発行日 1987年8月10日
Published Date 1987/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106573
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緒言
近年,医療の進歩により二分脊椎(spina bifida,open spine)児の生存率が上昇するとともに,脳水腫(hydrocephalus)に起因する知能障害を予防することが可能となり,教育,特に統合教育(integration,mainstreaming)への関心が高まっている.
Halliwell and Spain(1977)はLondonの二分脊椎児155名を調査し,62名(40%)が普通(ordinary)学校に通っており,このうち28名に歩行障害(車いす使用者は1名)があり,排泄障害は25名であったと報告している1).
McAndrew(1979)によれば,Melbourneの王立小児病院二分脊椎クリニックの患者35名中19名(54%)が普通学校で学び,このうち12名は一貫して普通教育を受けていた2).
New York州Rochesterでも,38名中29名(76%)が普通(regular)学校に通学し,このうち24名が普通学級に在籍していた(Lauder,et al:1979)3).
そして,神奈川県立こども医療センターの調査では,77例中実に65例(84%)が一般校で学んでいた(陣内,1982)4).
いまや問題は統合教育の是非から,いかに統合教育を保障するかに移っており,諸条件の整備,特に排尿処理問題が焦点となっている.
本稿では,アメリカの二分脊椎児に関する教育判例を取り上げ,判例の概要を紹介し,解説を試みることにより,二分脊椎児の教育保障をめぐる問題状況の一端を明らかにすることを目的とした.
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