Japanese
English
研究と報告
二分脊椎児の知覚・運動障害について
The Sensory-motor Problems in Children with Myelomeningocele.
野村 忠雄
1
,
辻 成人
1
,
辛島 千恵子
1
,
中川 等史
1
Tadao Nomura
1
,
Narito Tsuji
1
,
Chieko Karashima
1
,
Hitoshi Nakagawa
1
1石川整肢学園・小児整形外科センター
1Ishikawa Children's Orthopedic Center.
キーワード:
二分脊椎
,
知覚・運動障害
Keyword:
二分脊椎
,
知覚・運動障害
pp.215-221
発行日 1984年3月10日
Published Date 1984/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105131
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はじめに
従来から二分脊椎児のリハビリテーションにおいては,下肢の運動障害や関節の変形拘縮,さらに尿路障害などに多くの関心がむけられてきた.しかし,日頃,担任教師,保母,看護婦,理学療法士から二分脊椎児が「よくおしゃべりはするが,注意力や集中力に欠ける」「理解力がなんとなく悪い」「よくしゃべるが,単なるおしゃべりが多い」「予想以下のIQしか得られなかった」などの評価を耳にする.このような現象が,単なる患児の「やる気のなさ」や「根気のなさ」によるものなのか,あるいは二分脊椎児に特異的な器質的損傷に基づくものなのかに関する詳細な研究は本邦では未だ見ないようである.
近年,障害児の総合保育・教育が徐々にではあるが理解され実践されつつある.かつては下肢運動障害や失禁のコントロールのため養護学校に入学していた二分脊椎児にも,普通校への通学の途が開かれてきた.そこで問題となるのは身体的handicap以外に,患児の知能や,手指の巧緻動作能力,さらには知覚・運動面,学習面の障害であろう.この方面での正しい理解を得ることは,二分脊椎児の今後のリハビリテーションを考えるうえで極めて重要な問題と思われる.
今回,われわれは教育現場での学習面での問題点を調査し,さらに「新版K式発達検査」(以下K式検査と略す)および「Frostig視知覚発達検査」(Developmental test of visual perception,以下DTVPと略す)を用いて,二分脊椎児の知覚・運動,視知覚能の障害について検討したので報告する.
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