Japanese
English
特集 膀胱直腸機能
脊髄損傷における下部尿路の病態生理
Pathophysiology of the Lower Urinary Tract Following Spinal Cord Injury.
白岩 康夫
1
,
山口 脩
1
Yasuo Shiraiwa
1
,
Osamu Yamaguchi
1
1福島県立医科大学泌尿器科
1Department of Urology, Fukushima Medical College.
キーワード:
脊髄損傷
,
神経因性膀胱
,
尿路機能検査
Keyword:
脊髄損傷
,
神経因性膀胱
,
尿路機能検査
pp.417-422
発行日 1987年6月10日
Published Date 1987/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106525
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はじめに
脊髄損傷は傷害部以下の分節に支配される骨格筋に麻痺をもたらすのみでなく膀胱にも病変をひき起こす.このような膀胱は脊髄損傷膀胱とよばれ,VUR,尿路感染,腎機能不全など上部尿路に及んだ合併症により死亡する場合もあり,多くの臨床家や研究者の注目するところであった.
受傷直後は脊髄ショックとよばれる状態となり,排尿筋の活動性も失なわれるが,時間の経過とともに収縮力が回復し,不完全ながら自然排尿が可能なまでに至る.このような変化については古くから知られていて,核上型損傷ではhyperreflexia,核・核下型損傷ではareflexiaとなるとする概念が定着している.ところが,最近は神経因性膀胱に関し,UDS(urodynamic study)が行われるようになり,排尿に関し,膀胱の収縮と尿道の抵抗減弱とが同時に起こる排尿筋外尿道括約筋協調運動と近位尿道の開大が重要視されて,膀胱と近位尿道を一体として考えるようになった.従って脊髄損傷による排尿障害もそういった観点から見直されてきている.
協調運動の中枢は脳幹(橋網様体)にあると考えられている.従って脊髄損傷における排尿障害も橋排尿反射中枢との関係において論じられる.
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