Japanese
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講座 評価会議(2)
精神疾患・切断を合併した脊髄損傷
Paraplegics with Schizophrenia, Upper-Limb Amputation.
伊藤 良介
1
,
安藤 徳彦
1
Ryosuke Itoh
1
,
Norihiko Ando
1
1神奈川県総合リハビリテーションセンターリハビリテーション科
1Kanagawa Rehabilitation Center.
キーワード:
脊髄損傷
,
精神分裂病
,
上肢切断
Keyword:
脊髄損傷
,
精神分裂病
,
上肢切断
pp.389-393
発行日 1987年5月10日
Published Date 1987/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106518
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はじめに
評価会議を行う目的は①情報収集,②治療計画の立案と決定,③指示の伝達,④連絡調整などであろう.どのような患者が対象であってもスタッフ間の情報交換は不可欠であるが,ここに紹介する症例のように障害が重複してリハビリテーション治療の方針決定が困難な場合には,多職種のチームスタッフが評価会議を持つ意義は特に大きい.
評価会議の持ち方はどの病院・施設でもほぼ同様の型式をとっていようが,神奈川リハビリテーション病院では,患者が入院してくるとまず主治医の依頼にもとづきリハ医が診察し,目標や訓練方法を決めリハビリテーション訓練の処方箋を発行する.時に最終目標の設定が困難な場合には,短期的目標を設定し評価・訓練を開始する.入院後約2週間位のところで,初期評価と入院後の変化をふまえて初回評価会議を行う.出席者は主治医とリハ医,病棟看護婦,理学療法,作業療法,言語治療,心理の各担当者,ケースワーカーなどで,必要に応じて職業訓練や体育指導の担当も出席する.治療上の効果を考えて患者や家族の出席を要請することもあるが通常は訓練担当者だけで行っている.会議はリハ医が司会して,約30分の時間でまとめる.明確な結論が出せない場合や方針の修正を要する場合には,さらにミニカンファランス,中期評価会議などで対応している.
以下に脊髄損傷に精神疾患,切断を合併した2症例のリハビリテーション治療の経験を紹介する.精神疾患を合併する身体障害者は,いずれの医療機関でも治療に難渋することが多く,特に脊髄損傷の場合には初期の適切な治療が得られないと重大な二次的合併症の生ずる場合もあるので,我々の経験が多少でも参考になれば幸いに思う.
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