巻頭言
脳卒中の機能予後予測
千田 富義
1
1東北大学医学部リハビリテーション医学研究施設
pp.757
発行日 1990年10月10日
Published Date 1990/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106353
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脳卒中患者のリハビリテーションの分野では,機能的予後予測の重要性が強調されている.正確な機能的予後予測は適切な治療方針を早期に立て,患者・家族の教育を早い時期から始めるのに役に立つ.また,新しい治療方法の評価にも利用される.種々の患者情報や現在の治療技術レベルから機能的予後を予測することは経験的ではなく,より根拠のある治療を進めるために必要とされる.機能的予後予測による効率的な治療はリハビリテーション資源を有効に利用すべきという社会的要請に応えるものでもある.
脳卒中は突然発症であり,改善の経過は一定のパターンをとることが多い.そのため,他疾患よりも機能的予後を予測しやすいと思われる.昏睡の長さ,尿失禁の程度,認知障害の重症度などから機能的予後予測を行ったり,種々の指標をもとに,重回帰分析によって機能的予後予測がなされる.近年,その精度は向上し,臨床応用に耐えるものが増えてきている.そこで機能的予後予測に関する1,2の問題について述べてみたい.
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