書評
道免和久 編「脳卒中機能評価・予後予測マニュアル」
大田 仁史
1
1茨城県立健康プラザ
pp.1059
発行日 2013年11月10日
Published Date 2013/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110310
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いまや国民病と言われる脳卒中はリハビリテーションにかかわるすべての人に避けて通れない疾患である.しかも,脳卒中の現す病態はリハビリテーションに携わる者にとって勉強に事欠くことはない手ごわい対象でもある.現在,リハビリテーション医療の治療はエビデンスに基づいたものが強く要求されるようになり,なかでもきちんとした機能評価と予後予測なしでプログラムを組むことは,めざすべき港のない漂流船が海図なしで暗闇の海原を航海するような無謀極まりないものと言われるようにさえなった.すなわち機能評価・予後予測は必須中の必須になっている.しかしその全貌を理解するためのわかりやすい書はこれまで見当たらなかった.
本書には,評者が敬愛する道免和久教授の「患者のQOLをどう支えるか」というリハビリテーションの思想が基軸にあり,教授のリハビリテーションに対する熱い思いがこのマニュアル書を貫いていることがよくわかる.特に第Ⅰ部の第1章から第4章は,あたかも道免教授から直接実践統計学の講義を受けているような気さえする.洗練された文章は読みやすく,しかも無駄がない.後期高齢者の筆者は,臨床にいるときに出合えばよかったという思いに包まれ,現在の臨床家は幸せだとさえ思った.
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