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編集後記
大井 淑雄
pp.664
発行日 1990年8月10日
Published Date 1990/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106335
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大分前になるが,プライマリ・ケア学会に出席した折りに,川崎医科大学救命救急センターの教授と同席して,いろいろお話を伺ったことがある.それ以後,編集子は大体が一次救急に縁遠いものだから,その学会そのものから足が遠のいてしまった.しかし,現在の我々の病棟においても,また関連病院においても,整形外科では骨折が大きな分野を占めるし,関連のリハビリテーションセンターでも,骨折と,それに伴う後遺症との闘いは主な仕事の一つである.最近になっても交通外傷はいっこうに減少せず,一方,労働災害件数は下がったかのように見えるが,一件一件の病状は以前より重篤であるような印象さえ受ける.かくして,「四肢多発外傷とリハビリテーション」が今回,特集として取り上げられることとなった.
小野氏らは1,153例の救急患者のうちの11%,127例の解析から,初期治療とともに,治療スタッフのシステムとその流れを要約し,円滑に救急部が機能していることを示された.岩田氏の論文では,多発骨折が単独損傷より機能障害が高度であるために,早期からの機能回復訓練の必要性や,それを助けるための強固な内固定が必須である点を強調されている.白井氏らの大学でも救急部がよく機能していることは知られているが,後の機能障害の大きいことを警告,早期からのROM訓練やPREなどのメニューを示された.林氏は高齢者でも入院患者の4%くらいの頻度で多発四肢骨折の起こることを述べ,若年者に比較してその治療とリハビリテーションの困難な点を示された.
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