巻頭言
健康な生活とリハビリテーション
増田 和人
1
1京都市身体障害者リハビリテーションセンター
pp.581
発行日 1990年8月10日
Published Date 1990/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106318
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- 文献概要
私はいつも「健康な生活を送ることがリハビリテーションなのですよ」と言っています.なぜ健康な生活がリハビリテーションなのかといいますと,病気(disease)の状態は当然ながら不健康の状態であり,もし病気(disease)が治ったというのなら,たとえそこに障害(disability)が残ったとしても,それは健康な状態に戻ったということで,健康な生活を送れば良いということになります.何のことはない,リハビリテーションとは健康な生活を送りなさいということであり,もう病気(disease)じゃあないんだから,健康に良いことをしましょうと言っているだけです.
ただ,では健康な生活とはいったい何なのでしょうか.私流に言わせてもらえば,「良く食べて良く出す,良く寝て良く動く」ということです.自然な生活を,自然にやって下さいというのです.普段,何気なく生活を送っていると,いつの間にか「良く食べて良く出す.良く寝て良く動く」ということを忘れています.どこかに不自然なところが出てきて,不自然さが多くなってくると,どこかに歪みが出てくるように,歯車が噛み合わず,だんだんと不健康な状態になってしまうという悪循環が生じてきます.だから,自然な自分に戻ろうとすること,それがリハビリテーションなのですよと言っています.
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