学会報告
第10回東海リハビリテーション懇話会―1989年4月21日,於:名古屋市立大学医学部附属病院大ホール
室賀 辰夫
1
,
猪田 邦雄
2
1名古屋大学医療技術短期大学部作業療法学科
2名古屋大学医療技術短期大学部理学療法学科
pp.393-394
発行日 1990年5月10日
Published Date 1990/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106273
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1.Parkinson病に対する理学療法―評価としての障害度,ADL能力,重心測定について
名古屋市大病院リハビリテーション部 野崎 正幸
Parkinson病患者10名に対し,自己記入方式のADL調査票を用いて評価を行った.食事動作3項目,整容動作4項目,衣服着脱動作4項目,移動動作5項目,コミュニケーション4項目の合計20項目から成っており,患者は各項目ごとに,全介助,部分介助,困難,自立の4段階のうち,該当するところへ○をつけるようになっている.また,ADL評価を行った患者に対して重心動揺計を用いて重心を測定した.両踵部内側を接して足部を約60度開いた状態で重心検出器の中央に立ち,開眼で20秒間の静止立位での動揺距離と動揺面積,および前後左右方向へ各5秒間のクロステストを行い,静止立位平均値から各方向の移動時平均値までの距離を測定し,それぞれ前方移動距離,後方移動距離,左方移動距離,右方移動距離とし,stageおよびADL能力との関連性について検討した.
結果,①stage IVまではADL障害は比較的少なかった.②stageとADLとの間に負の相関を認めた.特に移動動作に著明であった.③静止立位での重心動揺距離と動揺面積は正常群との間に有意差を認めなかった.④重心動揺距離とstageとの間に正の相関を認めたが,動揺面積とstageとの間には認めなかった.また移動動作との間も同様であった.⑤クロステストは正常群に比し有意に低かった.⑥クロステストとstageとは前方以外で負の相関を認めた.
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