巻頭言
片麻痺の評価と治療
永田 雅章
1
1国立療養所村山病院リハビリテーション科
pp.321
発行日 1989年5月10日
Published Date 1989/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106047
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脳血管障害による片麻痺の回復や治療は,リハビリテーション医療に従事している者にとって重大な関心事のひとつである.これに関して多くの著書や論文が発表されており,臨床で広く用いられている評価法や治療法も少なくない.しかし,日常の診療に携わっていて,これらをそのまま適用することに疑問を感じることがしばしばある.
Brunnstromの著書に述べられている回復段階(Brunnstrom stage)が,日本では片麻痺の評価法として金科玉条のごとく用いられている.これは,筋力に着目する末梢性麻痺に対して,片麻痺では筋力テストが困難あるいは不可能であるとして,ほとんど運動のパターンによって段階づけされている.しかし,たとえば下肢についてみると,股,膝あるいは足関節の運動が抗重力位で行えるかどうかが判定基準になっていることが多く,これに関して大胆ではあるが,6段階の徒手筋力テストに照らしてみると,各運動について筋力3に相当する力があるかどうかをみていることになる.
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