Japanese
English
症例報告
多彩な行為抑制障害を示した1例のリハビリテーション経過―陽性症状に対するアプローチを中心に
Rehabilitation Progress of a Patient with Multiple Neuropsychological Dysfunction: Approach for Positive Symptoms.
渡辺 佳弘
1,2
,
前田 徳廣
1
,
梶原 敏夫
3
Yoshihiro Watanabe
1,2
,
Norihiro Maeda
1
,
Toshio Kajiwara
3
1小林記念病院理学診療科
2名古屋大学大学院入間情報学研究科
3藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学教室
1Department of Rehabilitation, kobayashi Memorial Hospital
3Department of Rehabilitation, School of Medicine, Fujita Health University
キーワード:
行為抑制障害
,
他人の手徴候
,
道具の強迫的使用
,
咬反射
Keyword:
行為抑制障害
,
他人の手徴候
,
道具の強迫的使用
,
咬反射
pp.575-578
発行日 1997年6月10日
Published Date 1997/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108404
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はじめに
行為抑制障害とは,脳損傷によってある種の行為が刺激に対して意思とは無関係に発現してしまう症候である.前頭葉からの抑制が解除されることにより,下位に位置する機能あるいは反射弓が活発化されるため生じる8)と考えられており,把握反射や本能性把握反応,alien hand signや道具の強迫的使用現象などが含まれる1).これらは本来存在していなかった行為が障害により出現したものであり,麻痺や失行などの陰性症状に対して,陽性症状と呼ばれる.
脳損傷患者において,高次脳機能障害はしばしば合併する症候であるが,特にそれが陽性症状であり,かつ複合して存在した場合には,ADLの自立など患者の予後に与える影響も大きく,さらにはリハビリテーションに対する阻害要因ともなるため,障害に合わせた特殊なプログラムを用意する必要があると考えられる.今回,われわれは行為抑制障害等の陽性症状を示す症例を経験し,リハビリテーションを試みたので,若干の考察を加え報告する.
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