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はじめに
リエゾン精神医学とは近年注目されてきている臨床精神医学の一領域であり,通常は「コンサルテーション・リエゾン精神医学」と並記して表現されている1).ここでいうコンサルテーションとは,一般臨床のなかで生じた精神科的諸問題に対して専門的な助言をする機能を意味している.それに対してリエゾン精神医学の機能は,一般臨床において実際に精神科的問題を解決したり,その発生を未然に防ぐための方法として,医療者―患者関係,患者―家族関係,医療スタッフ間の関係などを扱うことにある.
一方,リハビリテーション医療の中で精神医学的な知識やアプローチが要求される場面は少なくない.たとえば,障害の受容をめぐる心理的問題,訓練に対する意欲の問題,病気への逃避や疾病利得の問題,心因性機能障害の治療における問題など多岐にわたっている2).また,リハビリテーションの臨床には医師・看護婦の他に,理学療法士(以下PT),作業療法士(OT),言語療法士(ST),医療ソーシヤルワーカー(MSW)などの多職種が関わっているため,特にチームアプローチが要求されている.このように,リハビリテーション医療には精神医学的知識や配慮が必要であり,特にチームとしての機能を維持していくために,リエゾン精神医学が寄与し得る領域は大きい3).筆者のうち一人(保坂)は,昭和61年9月より週1回,東海大学付属大磯病院リハビリテーション科におけるチームミーティング(筆者らは,これをリエゾンカンファレンスと呼んでいる)に,リエゾン精神科医として参加してきている.本稿では,リエゾンカンファレンスの形態や内容が変遷してきた経過を述べ,リハビリテーション医療におけるリエゾン精神医学の意義を考察する.
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