Japanese
English
研究と報告
第Ⅱ相嚥下障害のリハビリテーション―バルーンカテーテルによる間歇的空気拡張法
Rehabilitation of Pharyngeal Dysphagia: Intermittent Air Stretching Method with Balloon Catheter.
角谷 直彦
1
,
石田 暉
1
,
豊倉 穣
2
,
田中 博
1
,
内山 義和
1
,
村上 恵一
2
Naohiko Sumiya
1
,
Akira Ishida
1
,
Minoru Toyokura
2
,
Hiroshi Tanaka
1
,
Yoshikazu Uchiyama
1
,
Keiichi Murakami
2
1東海大学大磯病院リハビリテーション科
2東海大学医学部リハビリテーション医学教室
1Department of Rehabilitation Medicine, Tokai University Oiso Hospital
2Department of Rehabilitation Medicine, Tokai University School of Medicine
キーワード:
輪状咽頭筋弛緩障害
,
バルーンカテーテル
,
間歇的空気拡張法
Keyword:
輪状咽頭筋弛緩障害
,
バルーンカテーテル
,
間歇的空気拡張法
pp.513-516
発行日 1992年6月10日
Published Date 1992/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107096
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はじめに
嚥下障害は脳血管障害をはじめ,脊髄小脳変性症などの変性疾患にも比較的多く認められる障害である.
嚥下運動は高次の複雑な神経機構によって統合かつ調整されており,その中枢は延髄に在る多数の核で支配されている.
正常な嚥下は口腔相,咽頭相,食道相の3相に分けられているが,嚥下訓練を考慮するために我々は以下の4相に分類して検討を行っている1).
1)口腔準備相(oral preparation)は流涎を防ぐための口唇閉鎖と口腔内の食塊の保持
2)口腔相(oral)は口腔から咽頭への随意的な食塊の移動
3)咽頭相(pharyngeal)は咽頭括約筋の収縮により口腔から弛緩した輪状咽頭筋を通って上部食道への不随意(反射的)な高度に協調のとれた食塊の移動
4)食道相(esophageal)は食道内の弛緩した下部食道括約筋を通って噴門への食塊の移動
以上4相に分けられた嚥下動態を観察しながら原因究明することは重要である.特に咽頭相の嚥下は反射的機序によって支配されているために,この部位で嚥下障害が生じた場合には外科的手段に委ねることが多く,リハビリテーション・アプローチは最近までほとんど試みられていなかった2,3,11).
我々は食道入口部の通過障害により嚥下不能となった咽頭相の嚥下障害患者(輪状咽頭筋の弛緩障害)に対してバルーンカテーテルを用いた間歇的嚥下訓練法を考案し,Videofluorography(以下,VFと略す)によって安全で,かつ良好な結果を得たのでここに紹介ならびに報告する.
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