Japanese
English
講座 物理療法(3)
痙縮に対する物理療法
Physical Medicine for Spasticity.
石神 重信
1
Shigenobu Ishigami
1
1防衛医科大学校リハビリテーション部
1Department of Rehabilitation Medicine, National Defense Medical College.
キーワード:
痙縮
,
物理療法
,
温熱・寒冷・電気刺激・振動
Keyword:
痙縮
,
物理療法
,
温熱・寒冷・電気刺激・振動
pp.221-225
発行日 1986年3月10日
Published Date 1986/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105562
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はじめに
筋緊張の異常亢進には,過去に拘縮,強直,攣縮,痙直など多様な用語が用いられ混乱してきたが,現在では痙縮と固縮に統一されてきた.錐体路障害によって起こる痙縮は,程度の差はあるが運動マヒを合併して痙性マヒの型をとることが多い.
損傷部位やその拡がりにより,痙縮や麻痺の分布もことなり,痙性片マヒ,痙性対マヒ,痙性四肢マヒ等とわけられる.
著明な痙縮は,肢位や運動パターンの異常を伴うことが多く,運動回復や正常の運動パターンの獲得に対して大きな支障となるばかりか,起居・移動動作や歩行,ADL等の自立の阻害因子となる.また二次的に,関節の拘縮や変形,筋萎縮,疼痛などの障害を合併して,治療プログラム遂行の支障となる.
痙縮の治療は,薬物療法,運動療法,装具療法,ここで述べる物理療法などの保存的治療と,神経ブロックや神経,筋,腱などへの手術的治療があるが,決定的な治療法はないのが現状である.痙縮への治療は,中枢性マヒも含めての総合的プログラムの一環をなすもので,物理療法は他治療法,とくに運動療法と併用されて,その導入の治療法として位置づけられよう.
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