Japanese
English
症例報告
感覚運動発達遅滞とShufflingについて―運動療法の経験と考察
The Effect of Therapeutic Exercise and Advice of Handling on Shuffling Infants.
江口 壽榮夫
1
,
市川 徳和
1
,
石井 秀典
1
,
徳弘 孝子
1
,
石黒 哲夫
1
,
矢吹 了一
1
Sueo Eguchi
1
,
Norikazu Ichikawa
1
,
Hidenori Ishii
1
,
Takako Tokuhiro
1
,
Tetsuo Ishiguro
1
,
Ryouichi Yabuki
1
1高知県立子鹿園
1Kojikaen, Prefectural Institute for the Crippled Children, Kochi.
キーワード:
Shuffling
,
運動療法
Keyword:
Shuffling
,
運動療法
pp.865-869
発行日 1985年11月10日
Published Date 1985/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105485
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はじめに
最近は脳性麻痺(以下CPと略す)の早期発見・訓練の観点から乳幼児の発達指導・訓練をすることが多いが,移動運動の発達過程で,いざり歩き(shufflingまたはhitching)から這うことなく独歩に到る子供に遭遇することを時々経験する.このようなshufflerといわれる子供達の多くは,全身特に下肢の筋緊張低下がみられるので,診察の時に筋緊張低下を伴ういわゆるfloppy infantの鑑別が必要であるが,筋神経系などの疾患にみられる臨床検査上の所見がみられなく,手指の運動発達は比較的良好で,Vojtaの姿勢反応でも単なる発達の遅れとしてとらえられる.そして特徴的なことは,四つ這い位や立位といった抗重力姿勢を嫌がり,shuffling以外の重心移動が困難であり,一連の移動運動発達におけるある姿勢から次の姿勢への変化をとろうとしないのである.このような患児で,特に移動運動発達遅延が著しい症例について,訓練と母親指導を行い,四つ這い,独歩へと比較的早く順調な発達をひきだすことができるが,これら患児の中には,正常の運動発達過程に必要な感覚統合の環境的な阻害――特に養育の仕方からくる――が関与しているものもあると考えられる.
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